骨伝導イヤホンと補聴器の違いとは？　骨伝導は補聴器の代わりになるか？軽度の聞こえにくさに合う選び方を解説

2025年6月9日

骨伝導イヤホンと補聴器の違いとは？骨伝導イヤホンはほちょうきの代わりになるのか？　軽度の聞こえにくさに合う選び方を解説

✅ 補聴器とは？｜医療機器としての役割と対象

▶ 補聴器は医療機器｜音を増幅して聞こえを補う仕組み

補聴器とは、耳に入ってくる音を電子的に増幅し、聴力が低下した人が聞き取りやすくなるようサポートする医療機器です。

内蔵されたマイクで音を拾い、音声処理チップがその人の聴力に応じて特定の音域（周波数帯）を強調または抑制し、適切な音量に調整して再び耳に届けます。
これにより、「高音だけ聞こえにくい」「一部の子音が聞き取れない」など、個別の聞こえ方の問題に対して、きめ細かく対応できるのが大きな特長です。

特に、高音域が聞こえにくくなる加齢性難聴や、一部の音が曖昧に聞こえる感音性難聴など、**医師や専門家による聴力検査の結果に基づいて最適な調整（＝フィッティング）**が行われることで、非常に自然で聞き取りやすい音質が実現されます。

また、補聴器は厚生労働省の認可を受けた「管理医療機器」として分類されており、家電製品とは異なり、医療機関や認定補聴器技能者のサポートのもとで使用することが推奨されます。

▶ 補聴器が必要になる代表的なケース（加齢性難聴・感音性難聴など）

補聴器が必要とされる主なケースは以下のとおりです。

加齢性難聴（老人性難聴）
年齢とともに聴力が徐々に低下していく状態。特に高音域の聞き取りが困難になります。
感音性難聴
内耳や聴神経に起因する難聴で、音が歪んで聞こえる、言葉の聞き分けが難しいといった症状が特徴です。
突発性難聴や騒音性難聴の後遺症
急激な聴力低下後、回復せずに難聴が残る場合にも補聴器が必要とされます。
生まれつきの聴力障害
小児や若年層でも適切な補聴器を使うことで、言語発達や生活の質が改善されるケースがあります。

▶ 耳鼻科での診断と補聴器の適合調整プロセス

補聴器は、自己判断で購入するのではなく、まず耳鼻科での診断が推奨されます。

多くの場合、以下のような流れで補聴器の選定と調整が行われます：

耳鼻科での聴力検査・診断
　原因や難聴の種類を明確にすることで、補聴器が必要かどうかを判断。
補聴器専門店・認定補聴器技能者によるフィッティング
　装着者の聴力に合わせて、音量・音質を個別に調整。
試聴と調整の繰り返し
　日常生活の中での違和感を確認しながら、最適な設定に微調整。

このように、補聴器はただの「音を大きくする道具」ではなく、医学的な知見と調整ノウハウが求められる高度な補助機器なのです。

✅ 骨伝導イヤホンとは？｜音を骨で伝える新しい聴こえの技術

▶ 骨伝導イヤホンの仕組みと特徴（こめかみに振動を伝える）

骨伝導イヤホンは、音を空気ではなく骨を通じて内耳に伝えるというユニークな仕組みを持っています。
耳をふさがず、こめかみや耳の前の頬骨あたりにデバイスを当て、振動で聴覚神経に直接音を届ける構造です。

通常のイヤホン（空気伝導）は鼓膜を振動させる必要がありますが、骨伝導では鼓膜を介さずに音が届くため、耳に疾患がある方でも音を感じ取れる可能性があります。

また、外耳道をふさがないため、「周囲の音が同時に聞こえる」「長時間使っても蒸れにくい」といったメリットもあります。

▶ なぜ「耳をふさがない」ことが注目されているのか

最近注目されている理由の一つが、耳をふさがない＝安全性と快適性の両立にあります。

ランニングやサイクリング中でも外の音が聞こえて危険を察知しやすい
会話しながら音楽やナビ音声を聴けるため、仕事や介護現場でも便利
外耳炎や湿疹など、耳のトラブルを避けやすい

特に耳栓型（カナル型）イヤホンに不快感を感じる人にとって、骨伝導は革新的な代替手段となっています。

▶ スポーツ・作業・耳の閉塞感が苦手な人に選ばれている理由

骨伝導イヤホンは、以下のようなシーンでの使用に適しています。

スポーツ中（ジョギング・ジム・ロードバイク）
　外の音も聞こえるので安全性が高い。汗で蒸れない。
水泳中　泳ぎながら楽しむ
　水の中でも音楽を楽しむことができる、完全防水型もあります。
仕事中の作業・コミュニケーション重視の現場
　通話や会話を遮らず、BGMや音声ガイドを聞くことが可能。
耳の閉塞感が苦手な人や軽い難聴のある人
　耳をふさがず、自然に音を「感じられる」快適な装着感。

このように、骨伝導イヤホンは新しい聴覚体験を提供するガジェットとして、幅広い層から支持を集めています。

✅ 骨伝導イヤホンは補聴器の代わりになる？【結論：補完的用途なら○】

▶ 補聴器と骨伝導イヤホンの根本的な違い（目的と設計思想）

補聴器と骨伝導イヤホンは、似ているようで全く異なる目的の製品です。

製品	目的	設計の思想
補聴器	聞こえにくさを補う医療機器	個々の聴力に合わせて音を調整
骨伝導イヤホン	音楽・音声のリスニング	耳をふさがず音を届ける快適性・安全性重視

補聴器は「聞こえを治療・補完する」ことが目的ですが、骨伝導イヤホンはあくまで「便利・快適に音を楽しむ」ためのツールです。
したがって、医学的に「難聴」と診断される場合には、骨伝導イヤホンは代替にはなりません。

通常のイヤホンは、空気を通じて音を鼓膜に届け、その振動が内耳へと伝わる仕組みです。
一方で、骨伝導イヤホンは、音の振動をこめかみなどの骨を通じて直接内耳に伝える構造になっています。

そのため、鼓膜や外耳に問題がある方にとっては、聞こえを補う手段として有効なケースもあります。
ただし、音を「医療的に補正して届ける」機能は持たないため、補聴器の代わりにはなりません。

▶ 「軽度の聞こえにくさ」や「耳鳴り対策」なら骨伝導も選択肢になる

一方で、補聴器を使うほどではないけれど、

テレビの音量が大きくなりがち
片耳だけ少し聞こえにくい
耳鳴りがして集中できない

といった**「軽度の聞こえにくさ」**に悩んでいる方にとっては、骨伝導イヤホンが日常生活の音を補ってくれるケースもあります。

また、耳鳴り対策として「環境音（ホワイトノイズ）」を流す用途にも、骨伝導イヤホンは有効です。
耳をふさがないため、違和感なく長時間使用できるのも大きな利点です。

✅ 耳鳴りにホワイトノイズが効果的な理由とは？

耳鳴り（＝自覚的耳鳴り）は、脳が“音のない静けさ”を不安と捉え、勝手に音を作り出している状態とも考えられています。
この状態に対し、ホワイトノイズ（自然音やザーという音）を静かに流して“無音の状態”をやわらげることで、脳の注意が耳鳴りから逸れ、ストレスが緩和されることがあるのです。

この手法は「サウンドセラピー」「耳鳴り順応療法（TRT：Tinnitus Retraining Therapy）」などと呼ばれ、耳鼻科や補聴器専門家の現場でも活用されています。

✅ 骨伝導イヤホンが耳鳴り対策に向いている理由

耳をふさがずに装着できるため、閉塞感がない
長時間の使用でも疲れにくい
周囲の音が聞こえるので、生活に支障をきたしにくい
寝る前や仕事中でも“ながら使用”ができる

たとえば「静かな夜やオフィスで耳鳴りが気になるときに、環境音を流して緩和する」といった使い方が可能です。

✅ ホワイトノイズを流せる骨伝導イヤホンはある？

厳密に「ホワイトノイズ専用」とうたっている骨伝導イヤホンはあまり多くありませんが、次のような方法で実現できます：

▶ 方法1：Bluetooth接続でスマホのホワイトノイズアプリを利用

無料アプリ（例：「White Noise」「Sleep Sounds」「Tide」など）を使って、骨伝導イヤホンから環境音を流す
iPhone・Androidともに多数の選択肢あり

▶ 方法2：MP3内蔵型骨伝導イヤホンにホワイトノイズ音源を保存

「MP3再生機能付き骨伝導イヤホン」（例：Shokz OpenSwimやH2O Audio）にホワイトノイズ音源を入れて使う
オフラインでも使えるため、夜の就寝時や外出先にも便利

💡 まとめ（ホワイトノイズ）

耳鳴りに悩む方にとって、「音のない静寂」はつらいもの。
骨伝導イヤホンでホワイトノイズや自然音を静かに流すことで、違和感なく“聞こえの緩衝材”を作り出し、日常の快適さを取り戻す助けになります。

▶ 医師や補聴器専門家が推奨する「試してから判断する」スタイル

近年では、医師や補聴器専門家も「いきなり補聴器ではなく、まずは骨伝導イヤホンを試してみてもよい」というスタンスを取ることも増えてきました。

骨伝導イヤホンは価格も比較的安価（1万円前後〜）で、購入のハードルが低い
補聴器に抵抗がある人にとって、「聴こえる感覚」をまず体験できる
違和感や効果を実感したうえで、本格的な補聴器の検討に進める

このように、骨伝導イヤホンは「補聴器の前段階としての試用的アイテム」としての役割も果たしているのです。

✅ こんな人に骨伝導イヤホンはおすすめ【具体例】

骨伝導イヤホンは医療機器ではないものの、「聴こえにくさに不便を感じているけれど補聴器はちょっと…」という方にとって、有力な選択肢になり得ます。ここでは、具体的なシーンや悩み別におすすめのケースをご紹介します。

▶ TVの音が聞きづらいが家族には迷惑をかけたくない

「テレビの音が聞き取りづらくて、つい音量を上げてしまう。でも家族から“うるさい”と言われる…」
そんな悩みを抱えている方にとって、骨伝導イヤホンは非常に便利です。

テレビとBluetooth接続できるモデルを使えば、音だけを自分の骨に伝えることができる
耳をふさがないため、周囲との会話も可能
家族と音量トラブルにならず、自然な音環境を保てる

▶ 片耳だけ聞こえにくく、ちょっとだけ補いたい

左右どちらかの耳に軽度の聞こえにくさがある場合も、骨伝導イヤホンが活躍します。

両耳をふさがないため、聞こえる側の耳はそのままに
骨伝導で両耳に音を届けることで、バランスよく音を感じられる
補聴器のような煩雑な調整やフィッティング不要

一時的な聞こえにくさ（耳詰まりなど）にも対応でき、柔軟な使い方ができます。

▶ 耳鳴りが気になって、日常生活での音を聞きやすくしたい

耳鳴り（※医療的には「耳鳴症」）は、無音状態で強く感じる傾向があります。
骨伝導イヤホンはこのような状況にもフィットします。

ホワイトノイズやヒーリング音を流すことで耳鳴りを軽減
長時間つけても耳が疲れにくく、睡眠前やリラックスタイムにも使える
外音も取り入れながら、音環境を自然に整えられる

補聴器ではなく、“音環境のチューニング”としての活用ができるのは骨伝導イヤホンならではの特長です。

✅ 骨伝導イヤホン以外にもある！耳をふさがない音の補助ソリューション

▶ 未来スピーカーのような「指向性スピーカー」とは？

指向性スピーカーとは、音を“狭い範囲”にだけ届けるよう設計された特殊なスピーカーです。
たとえば「未来スピーカー」や「パーソナルスピーカー」などがこのカテゴリに属します。

スピーカーの正面にだけ音を届け、周囲にはほとんど音が漏れない
音量を上げなくても、話者の声やテレビ音が“本人にだけ”クリアに聞こえる
家族や周囲に迷惑をかけずに、テレビ・音声を楽しめる

▶ こんな人におすすめ

骨伝導イヤホンの振動が苦手な方
長時間イヤホンをつけたくない方
自宅でTVや会話の音を自然に補いたい方

▶ 骨伝導イヤホンと指向性スピーカーの比較

項目	骨伝導イヤホン	指向性スピーカー
装着感	直接装着（耳をふさがない）	非装着（スピーカー型）
音漏れ	少しあるが小音量なら許容	周囲への音漏れ極小
持ち運び	○（ポータブル）	△（据え置きが多い）
自宅での使用	◎	◎
外出時の使用	◎	×

✅ H2-6：おすすめの指向性スピーカー製品【骨伝導イヤホンと併せて検討したい】

▶ H3-6-1：ミライスピーカー（MIRAI SPEAKER®）

高齢者の聞こえにくさを改善するために開発された指向性スピーカーの代表格。
テレビの音声をクリアに届けながら、周囲には音が広がりにくいため、家族とのトラブルを回避できます。

テレビの音声が自然に聞こえる
装着不要でストレスフリー
補聴器に頼らず「テレビの音が聞き取りやすくなる」と話題
購入前に30日間返金保証付きのお試し制度あり（アフィリエイトリンク可）

未来スピーカー公式サイト（60日間返金制度あり）

▶ H3-6-2：ヤマハ YAS-109／YAS-209（サウンドバー）

ヤマハのサウンドバーは、音の指向性を工夫した「クリアボイス機能」を搭載しており、
テレビの音声がはっきりと聞こえるように設計されています。

補聴器やイヤホンなしで、セリフやナレーションが明瞭になる
Amazon Alexa対応で音声操作も可能
テレビ下に設置するだけの手軽さ

📎 YAS-109（Amazonで見る）
📎 YAS-209（Amazonで見る）

▶ H3-6-3：骨伝導が合わない方や家族との共用に最適

骨伝導イヤホンは個人用ですが、指向性スピーカーは家族と共有できるのもメリット。
とくに「家族とTVを一緒に観るが、音が聞こえづらい」といったケースでは非常に有効です。

✅ まとめ

骨伝導イヤホンが便利な一方で、「耳をふさがず自然な音を得たい」ニーズには、
**指向性スピーカーという“装着しない音の補助器具”**も有効な選択肢になります。

補聴器よりも気軽で、骨伝導が合わない方にもおすすめできる方法です。

✅ 補聴器と骨伝導イヤホンの比較表【性能・価格・用途】

「骨伝導イヤホンと補聴器、どっちが自分に合っているの？」と迷った方のために、性能・価格・使用シーンを軸にした比較表を用意しました。
目的や予算に応じて、どちらが適しているかを見極める参考にしてください。

▶ H3-5-1：価格・購入先・試聴のしやすさ

項目	補聴器	骨伝導イヤホン
価格帯	数万円〜数十万円	5,000円〜30,000円程度
購入場所	医療機関／補聴器専門店	家電量販店／ECサイト（Amazon等）
試聴のしやすさ	店舗で予約・診断が必要	比較的自由に試せる（返品対応あり）

補聴器は医療機器扱いのため、診断・調整が必須で購入までに時間がかかる場合があります。
一方で骨伝導イヤホンは気軽に購入・返品できるモデルが多く、お試しに最適です。

▶ 音質・増幅機能・電池の持ち

項目	補聴器	骨伝導イヤホン
音質の最適化	個人の聴力に合わせて細かく調整可能	一般的な音楽用のチューニング
音の増幅機能	あり（特定の周波数を補強）	音楽・音声をそのまま出力
電池の持ち	1週間以上持つものも（使い方次第）	5〜10時間（充電式が主流）

補聴器は**「聞こえ方を補うこと」が目的なので、特定の周波数や音域に対して増幅する機能があります。
一方、骨伝導イヤホンは音楽・音声用の一般的な設計**で、聞こえにくさへの対応力はやや限定的です。

▶ H3-5-3：装着感・見た目・使う場所（室内／屋外）

項目	補聴器	骨伝導イヤホン
装着感	耳の中または耳の後ろにフィット	頬骨に当てる（耳をふさがない）
見た目	医療機器らしさがある	スポーツガジェット風で自然
使用シーン	屋内中心（静かな場所での使用に最適）	屋外や運動中にも使える

骨伝導イヤホンは、**「見た目に違和感が少ない」「外でも気軽に使える」**という点で日常へのなじみやすさがあります。