置くだけWiFiは雨の日に弱い?電波が悪くなる原因と対策を解説
「晴れの日は快適なのに、雨の日になるとネットが遅い…」
そんな経験はありませんか?
実は、置くだけWiFi(ホームルーター)は天候の影響を受けることがあります。
本記事では、雨や湿気によって電波が届きにくくなる仕組みをやさしく解説し、
実際にどう対策すれば通信を安定させられるのかを紹介します。
雨の日に通信速度が遅くなる理由
「晴れているときは快適なのに、雨が降るとネットが重くなる」――。
そんな現象は決して気のせいではありません。
実は、WiFiやホームルーターが利用している電波は、雨粒や湿気によって減衰(弱まる)するのです。
この章では、まずその仕組みと、特に影響を受けやすい5G回線の特性について解説します。
雨粒が電波を吸収・散乱させる「雨減衰」現象
「雨減衰(うげんすい)」とは、雨や雪などの水分が空中を飛ぶ電波を吸収・反射・散乱させる現象のことです。
電波は「空気中を通るエネルギーの波」なので、水分が多い環境ではエネルギーが途中で弱まってしまいます。
特に、周波数が高い電波ほど影響を受けやすいという特徴があります。
これは、波の長さが短い(≒波が細かい)ほど、雨粒などの障害物にぶつかりやすくなるためです。
周波数帯 | 用途 | 雨の影響度 |
---|---|---|
700〜900MHz | 4G(プラチナバンド) | 影響:小 |
2.0〜3.7GHz | 4G/5G(Sub6) | 影響:中 |
28GHz帯 | 5G(ミリ波) | 影響:大 |
💡つまり、5Gエリアで通信している場合は、雨によって速度が落ちることが十分にあり得るというわけです。
また、湿気や気温変化による「空気中の屈折率の変化」も通信の安定性に影響します。
特に梅雨時期や台風シーズンは、湿度100%近い環境で電波が減衰しやすくなるため、遅延を感じる人が増える傾向があります。
5G電波(Sub6・ミリ波)は特に影響を受けやすい
5G通信は高速ですが、障害物や雨に非常に弱いという性質があります。
なぜなら、5Gが使用する「Sub6GHz帯」や「ミリ波(28GHz帯)」は、4Gよりも波長が短く、雨粒・壁・ガラスなどの影響を受けやすいためです。
雨が強くなると、
- 電波が途中で減衰し、基地局との通信が不安定になる
- ルーターが電波を再取得するため、一時的に速度が落ちる
といった症状が発生します。
この影響は、ドコモのhome5Gやauホームルーターなど、屋外の基地局と直接通信するタイプで特に顕著です。
一方、SoftBank Airなどの低周波数帯(プラチナバンド)を利用するモデルでは、比較的影響が小さい傾向があります。
☔ 要点まとめ
- 雨粒が電波を吸収・散乱(雨減衰)させる
- 高周波の5G電波ほど影響を受けやすい
- 特に豪雨や湿度が高い季節は通信品質が落ちやすい
屋内環境でさらに電波が弱まる原因
雨の日に通信速度が落ちる原因は「外の電波減衰」だけではありません。
実は、屋内の構造や建材によっても電波が遮断・減衰してしまうことがあります。
特にマンションや鉄筋コンクリート住宅では、“雨+建物構造”による二重の電波ロスが発生しやすいのです。
壁・鉄筋・ガラスコーティングによる遮断
WiFiやホームルーターの電波は、壁・柱・ガラスといったあらゆる障害物で弱まる性質があります。
特に、以下のような建物構造では電波が届きにくくなる傾向があります。
建材・構造 | 電波への影響 | 備考 |
---|---|---|
鉄筋コンクリート(RC構造) | ★★★★☆ | 電波を反射しやすい。高層マンションに多い。 |
断熱材入りの外壁 | ★★★☆☆ | 熱だけでなく電波も通しにくい。 |
金属コーティングガラス(Low-E) | ★★★★★ | 電波をほぼ遮断。省エネ住宅に多い。 |
これに雨の湿気が加わると、空気中の伝播効率もさらに悪化します。
つまり、「外で電波が弱まり、室内でも遮断される」という二重苦の状態になるわけです。
たとえば、
- 鉄筋マンションの1階でhome5Gを利用
- 雨の日で湿度90%以上
この条件では、上層階や窓際に比べて30〜50%程度速度が低下するケースも確認されています。
💡 対策のコツ
・ルーターを壁や家具から30cm以上離す
・できれば窓の近くや高い位置に設置
・ルーター周辺に金属製ラックや電子レンジを置かない
窓際でも“雨戸”や“断熱ガラス”で遮られることも
「窓際に置いているのに遅い…」という場合は、ガラスや雨戸の素材が電波を遮っている可能性があります。
特に注意したいのが以下の2つです。
- Low-E(ロウイー)ガラス
→ 紫外線・赤外線をカットするために、金属酸化膜がコーティングされています。
→ これが電波も遮断してしまい、外からの4G/5G信号を大幅に減衰させます。 - アルミ製の雨戸・シャッター
→ 金属素材が電波を反射・遮断。
→ 雨の日や夜間に雨戸を閉めると、ルーターの受信強度が一気に下がることがあります。
また、冬場は結露や湿気の影響で空気中の水分量が増え、雨天時と似た“高湿環境”による電波ロスが発生します。
特に築浅の住宅や断熱性能の高い家では、外部からの電波を通しにくい設計が多く、結果的に通信速度に影響することも。
✅ 改善策のポイント
- 雨戸を閉める場合は通信中だけ少し開けておく
- Low-Eガラス越しにルーターを置かない
- 木製・樹脂サッシ側に設置してみる
🌧️ まとめ
- 鉄筋・ガラス・金属などの建材が電波を遮る
- 雨の日は外でも電波が減衰するため「二重減衰」が発生
- 設置場所を少し変えるだけでも速度は大幅改善可能
雨の日でも速度を維持するための対策
雨の日に通信速度が落ちても、設置環境や使い方を少し工夫するだけで改善できる場合があります。
ここでは、初心者でもすぐ実践できる3つの対策を紹介します。
ルーターを窓際の高い位置に移動する
雨の日は、空気中の水分によって電波が吸収・散乱しやすくなります。
そのため、できるだけ基地局と“直線距離でつながる”ように設置位置を調整することが重要です。
特に効果的なのは、次の2つのポイントです:
- 窓際の高い位置に置く(床から1m以上)
→ 壁や家具による遮蔽を避け、外の電波をキャッチしやすくなる。 - 金属製の棚や家電の近くを避ける
→ 電波の反射・干渉を防ぎ、安定した通信が得られる。
たとえば、ルーターをリビングのテレビ台から窓際の棚上に移動するだけで、
電波強度が2〜3段階アップしたという事例もあります。
💡 設置のコツ
- ルーター周辺に障害物を置かない
- 壁やガラス越しよりも「直視できる方向」を意識
- 高層マンションでは「窓から基地局方向」を優先
中継器や外付けアンテナの活用も効果的
屋内の構造上、どうしても電波が弱くなる場合は、WiFi中継器や外付けアンテナの導入もおすすめです。
🔹 WiFi中継器のメリット
- ルーターからの電波を中継し、別の部屋まで安定通信
- コンセントに挿すだけのモデルが多く、設置も簡単
- 家族で複数デバイスを使う家庭に最適
🔹 外付けアンテナの活用
- ルーターのUSBポートや専用端子に接続し、受信感度を強化
- 特にhome5G L11/L12などの一部機種は外付けアンテナ対応
- 2階建てや広い家では、電波の届きにくい場所でも安定
また、中継器+高所設置の併用で、速度が1.5〜2倍に改善するケースもあります。
雨の日でも安定した通信を求めるなら、環境に合わせた機器の追加が有効です。
✅ おすすめ機器キーワード
- 「WiFi 中継器 置くだけWiFi 対応」
- 「home5G 外付けアンテナ」
夜間の混雑時間帯を避ける/再起動でリセット
意外と見落としがちなのが、時間帯による混雑と再起動の有無です。
特に雨の日は屋内で動画やゲームを楽しむ人が増え、夜間(20〜23時頃)に通信が集中します。
この時間帯を避けて利用するだけでも、体感速度が2〜3倍違うことがあります。
どうしても夜に使う場合は、以下の方法で改善を試しましょう。
- 使う前にルーターを再起動してキャッシュをリセット
- ファームウェア更新がある場合は必ず適用
- 長時間接続しっぱなしなら、一度電源を切って再接続
💡 再起動の目安:週1〜2回
→ 電波の再取得が行われ、混雑エリアでの安定性が向上します。
☔ まとめ
- 設置位置を見直す(窓際・高所・障害物なし)
- 中継器やアンテナで受信強度を底上げ
- 夜間や混雑時は再起動や時間調整で安定化
それでも遅いときは?他社回線も比較しよう
「設置位置も工夫したけど、まだ遅い…」
そんなときは、通信キャリアごとの電波特性を見直すのがおすすめです。
実は、置くだけWiFi(ホームルーター)は「どの会社の電波を使うか」で速度や安定性が大きく変わります。
ここでは、主要3社の特徴を比較してみましょう。
主要3社の特徴と電波の違い
会社名 | 代表ルーター | 主な通信帯域 | 特徴 | 向いている環境 |
---|---|---|---|---|
ドコモ | home 5G(HR02/L12) | 5G Sub6中心(3.4〜4.9GHz) | 高速通信に強く、Sub6エリアが広い。雨の日でも比較的安定。 | 都市部・郊外どちらにも対応。速度重視派に最適。 |
ソフトバンク | SoftBank Air(Airターミナル5) | 4Gプラチナバンド(700〜900MHz) | 壁越し・屋内でも届きやすい。速度より安定性重視。 | 鉄筋マンション・住宅街など電波の届きにくい環境に強い。 |
au(KDDI) | ホームルーター 5G(Speed Wi-Fi HOME 5G L13) | 4G+5G混在(2.6GHz中心) | 地方や郊外エリアの基地局が多く、安定感が高い。 | 地方・山間部など、通信エリアが限られる地域におすすめ。 |
💡 選び方のポイント
- 速度重視なら → ドコモ home5G
- 建物内でつながりにくいなら → SoftBank Air
- 地方・郊外で安定を求めるなら → au ホームルーター
SoftBank Airが「遅い」と言われる理由
検索でもよく見かける「SoftBank Air 遅い」という口コミは、
実際にはエリアと設置環境の影響が大きいケースがほとんどです。
- Airターミナルは4G回線をメインに利用(5G対応エリアは限定的)
- 周辺ユーザーが多い地域では、基地局の混雑で速度が低下
- 高層マンションなどでは、電波の到達距離が不足しやすい
とはいえ、**プラチナバンド(700〜900MHz)**に対応しており、
「壁やガラス越しでも安定通信できる」という強みもあります。
設置環境を工夫すれば、十分実用的な速度を出せる機種です。
まとめ|自分の環境に合う回線を選ぼう
置くだけWiFiは「どの回線が強いか」で体感速度が大きく変わります。
- 速度を最優先するなら → ドコモ home5G
- 障害物の多い部屋で使うなら → SoftBank Air
- 地方や郊外で安定重視なら → au ホームルーター
通信品質はエリアごとに異なるため、まずは各社の公式サイトで対応地域をチェックしてみましょう。
📊 さらに詳しい比較はこちら →
👉 【2025年】置くだけWiFi比較|ドコモhome5G・ソフトバンクAir・auルーター徹底比較
まとめ|“雨の日の遅さ”は設置環境と対策で解決できる
雨の日に置くだけWiFiの通信が遅くなるのは、ほとんどが自然現象と環境要因によるものです。
電波は水分に弱く、雨粒や湿気によって**一時的に減衰(雨減衰)**することがありますが、
これはルーターの故障ではなく、環境による一時的な速度低下です。
しかし、安心してください。
ルーターの設置位置や中継機の導入、混雑時間帯の見直しなどを行えば、
多くのケースで速度を安定させることが可能です。
💡 まとめポイント
対策項目 | 内容 | 効果の目安 |
---|---|---|
設置位置を変更 | 窓際・高所・金属から離す | 電波強度+20〜40% |
WiFi中継器・外付けアンテナ導入 | 電波の届きにくい部屋を補強 | 通信範囲拡大・速度安定 |
夜間利用を調整/再起動 | 混雑・キャッシュ解消 | 一時的な速度低下を回避 |
他社回線の比較 | home5G/Air/au回線の特性を見直す | 環境に合う最適回線を選択 |
雨の日に速度が落ちるからといって、慌てて契約を変える必要はありません。
まずは「設置環境の最適化」から試すのがベスト。
それでも改善しない場合は、他社回線との比較検討を行いましょう。
👉 関連記事でさらに詳しく解説中:
☔ 結論:雨の日の“遅さ”は故障ではなく環境で決まる。
正しい設置と基本的なメンテナンスで、天気に左右されない快適通信が手に入ります。
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