ダイソーから発売されている容量5,000mAhのソーラーモバイルバッテリーを購入し、晴天のもとで太陽光充電を試してみました。
しかし、結果は予想以上に厳しく、実用には到底足りない性能であることが判明しました。
この製品は、そもそも太陽光のみで安定した充電を行うことを想定しておらず、「一体型のソーラーパネルでは目的を達成するのは難しい」という結論に至りました。
そこで今回は発想を転換し、別途ソーラーパネルを用意して「分離型」の構成に変更。
太陽光で外部のソーラーパネルから発電し、それをモバイルバッテリーへ蓄電するという方法で、アウトドアや災害時にも実用可能な充電環境の構築に挑戦してみました。
H2-1. ダイソーのソーラーモバイルバッテリーを試してみた

ダイソーが発売している「ソーラーモバイルバッテリー(5000mAh)」は、太陽光で蓄電できるというアイデアがユニークで、つい手に取ってしまいました。価格は税込1,100円。USB-A出力が2ポート、Type-C入力対応と、見た目もスペックも悪くありません。
「もし太陽光でスマホやイヤホンが充電できたら、災害時やアウトドアでも安心じゃないか?」
そんな期待を胸に、晴天の日に実験を行ってみました。
商品パッケージにはこんな注意書きが添えられています。
「ソーラー充電は補助的なものです。充電してからご使用ください」
この一文には少し嫌な予感が……。とはいえ、「補助的」とはどの程度なのか? 実際に太陽の下でどれほどの実力があるのか? 気になるところです。
早速、強い日差しの中で実験を開始。
午前から午後にかけて、4時間・8時間とじっくり太陽光に当ててみました。
結果はというと――
- 4時間ではほとんど変化なし
- 8時間経っても、LEDインジケーターは1つも点灯せず
おそらく、極めて微量ながら充電は進んでいるのでしょう。しかし、「今日1日中、太陽に当てたから、明日はスマホを充電できる!」といった使い方は到底できないレベルです。
一言でいうと、**“ソーラーでの本格充電はほぼ不可能”**という結論。
太陽光だけで使えるバッテリーだと思って買うと、期待は見事に裏切られます。
エマージェンシー用途としても、日常的に活用するにはあまりに非力。このままでは、電源のない環境で活躍するのは正直厳しいと言わざるを得ません。
では、なぜこのような結果になるのか?
その理由と背景について、次の章で詳しく解説していきます。
H2-2. なぜ太陽光充電はうまくいかなかったのか?
結論から言えば、ダイソーのソーラーモバイルバッテリーが“太陽光だけでまともに充電できない”のは、設計段階からある程度予測可能なことだったのかもしれません。
実際にこの製品を観察してみると、最大の問題は――
ソーラーパネルの「面積」が小さすぎる
このバッテリーに搭載されているソーラーパネルは、見たところ約7cm × 7cm程度。
わずか50cm²ほどの表面積しかありません。
太陽光発電では、パネルの面積がそのまま発電量に直結します。たとえば高性能なソーラーパネルでも、直射日光のもとで1平方メートルあたりおよそ100W前後の発電が限界です(理想的条件下で)。
それをこのサイズに当てはめると、理論上の発電量は1Wにも満たないという試算になります。しかも実際にはパネルの向きや光の強さ、変換効率などで、もっと低下します。
つまり、スマホやイヤホンを充電するには、あまりにも非力な面積ということです。
変換効率にも限界がある
仮にパネルの面積が倍になっていたとしても、変換効率(=太陽光を電気に変える効率)が低ければ意味がありません。
この商品は価格が1,100円ということもあり、高性能な単結晶パネルやPERC型パネルが使われている可能性は低いでしょう。おそらく安価なアモルファス系または多結晶系のソーラーパネルが使われており、変換効率も10〜15%程度と推測されます。
設計上の限界と、価格という“壁”
製品全体のサイズは一般的なモバイルバッテリーと同程度。つまり、ソーラー機能のためにサイズや構造を犠牲にする余地がなかったと考えられます。
そして何よりの制約が「価格」。
一般的に5000mAhのモバイルバッテリー単体でも、ある程度の品質なら1,000円では難しい。それに加えて、ソーラーパネルを搭載しながらこの価格を維持するのは無理がある設計と見るほかありません。
ある意味、「ソーラーパネル付きバッテリーが1000円!?」という話題性ありきの商品設計だったのではないでしょうか。
実用性より“ウケ狙い”だった可能性も
少し意地悪な見方をすれば、この商品は
「ソーラー付きってなんか良さそう!」
「災害時にも太陽で充電できるんでしょ?」
という消費者のイメージに応えるための“演出要素”が強いようにも感じます。
たしかに、ソーラー付き=安心感があるという印象はありますが、実用性を伴わなければ、それは幻想にすぎません。
ではどうすれば使えるのか?
ここで登場するのが、分離型のソーラーパネル。
次章では、ダイソー製のバッテリーを活かすために私が実践した、「分離型パネル+蓄電運用」という新しい方法をご紹介します。
H2-3. 分離型ソーラーパネルという選択肢

前章でお伝えした通り、ソーラーパネル一体型のモバイルバッテリーは、実際の使用においては「ソーラーで充電する」ことが前提にはなっていない製品です。
「これ、ソーラー付きなんだよ」と話題にできることが主目的なのかもしれません。実際、太陽光だけでスマホやイヤホンをまともに充電するのは極めて困難でした。
「充電できる環境」を本気で考えたら、分離型に行き着いた
しかし、災害時やアウトドアなど、電源がない状況でスマホやイヤホンを充電したいというニーズは確実にあります。
そこで注目したのが、分離型のソーラーパネル+モバイルバッテリーの構成です。
ソーラーとバッテリーを別々にすれば、パネルのサイズ(=発電能力)も自由に選べ、より実用的なシステムが構築できるはず――そう考えて、試してみることにしました。
コンパクト&安価な4枚構成パネルを試してみた
まずはAliexpressやTemuで見つけた4枚構成のモバイルソーラーパネルを購入。
折りたたむと、スマホより一回り大きい程度のサイズになり、カバンに入れて持ち歩けるほどの携帯性もあります。表記上は「30W」となっていたため、性能にも少し期待。
太陽光の下で使用してみたところ、ゆっくりではあるが確実に充電が進むことがわかりました。
とはいえ、8時間でスマホを20%→80%充電できれば合格と考えていたところ、惜しくもその水準には届かず。
もう少し発電力がほしい……そう思い、さらに上位モデルを試すことに。
6枚構成のソーラーパネルで実用域に到達!
次に選んだのが、6枚構成のソーラーパネル。
大きさは少し増しますが、発電能力は段違い。実際、晴天下で8時間ほど設置してみたところ、スマホ1台をほぼフル充電できるレベルの性能が確認できました。
これにより、「モバイルバッテリー+分離型ソーラーパネル」という構成が、実際に使える“自前の電源供給セット”として成立することがわかりました。
注意点:パネル下のスマホやバッテリーは“熱暴走”に注意!
ひとつだけ注意したいのが、「機器の設置場所」です。
ソーラーパネルは直射日光に当てて使用するため、表面が非常に高温になります。
その下にモバイルバッテリーやスマホを直接置いてしまうと、機器が高温になりすぎて危険です(バッテリー寿命の低下や発熱リスクあり)。
筆者は実際にこの点を懸念し、車用の遮熱シートを利用して、スマホを日陰に保護しながら充電を行いました(この記事には実際の写真を掲載予定です)。


左端6Pソーラーパネル、スマホをその下に入れて充電すると、ソーラーパネルがものすごく熱を持つのでNGですね。従い車の熱遮断のシートの中にスマホを入れて充電し、これだと温度はあがらなかった。そとではちょっとした工夫が必要ですね。6Pソーラーパネル持ち運びに便利なサイズです。
結論:分離型は実用的、だが“熱”対策は必須
このように、ソーラー充電を現実の選択肢として考えるなら、分離型が圧倒的におすすめです。
一体型では不可能だった「まともな充電」が、構成を工夫することで確実に手の届く範囲に入ってきます。
ただし、使い方と環境への配慮があってこその実用性です。太陽の力をうまく取り込む工夫と、熱対策を忘れずに行いましょう。
H2-4. 実験開始!分離型ソーラーパネル+ダイソーバッテリーでの充電結果
- → 実際の使用風景、晴天時の充電時間、イヤホン・スマホでの結果を少しわかりやすくまとめて、皆様に報告しますね。
ソーラーパネル 6P 晴天下でのデータ ソーラーパネルからアイホンに直接充電 充電%がよくわかる
測定その1
8:00 20%
12:06 91%
平均 1% 3.67分
測定その2
13:55 80%
15:04 98%
1% 3.83分 6P構成であれば、実用上問題ない 4時間で70% ゲインできる実力
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