「LDACに切り替わらない」「SBC/AACのまま」「990kbpsが出ない」—Androidでよくあるつまずきです。
原因の多くは 設定の見落とし と 環境(距離・干渉・電池)。本記事は、誰でもその場で試せる “5分で直す”チェックリスト を用意しました。
上から順に、ペアリング/開発者オプション(LDAC・音質優先)/アプリの高音質設定/環境の整え方 を確認していけば、ほとんどのケースで安定した高音質に戻せます。Xperia/Pixel/Galaxyなど端末固有の違いにも触れ、なぜ990kbpsに張り付かないのかも短く解説。
数値に振り回されず、まずは安定>数値で“いい音”を取り戻しましょう。
① 対応機種の確認
まずは「そもそも使える条件か」を30秒で確認します。
スマホ/イヤホン/音楽アプリの三点セットがそろっていれば、以降の手順で直ります。
スマホがLDAC対応か確認する(Xperia/Pixel/Galaxyなど)
- 設定 → デバイス情報(端末情報) → Androidバージョンを確認
- 目安:Android 8.0以上ならOSとしてLDACを扱えます(※機種やキャリア設定で制限がある場合あり)。
- 実機で“LDACの名前が出るか”をチェック
- 設定 → 接続設定 → Bluetooth → 接続中のイヤホンの歯車を開く
- 「HDオーディオ(LDAC)」 という表示やトグルがあれば◎
- もしくは 設定 → システム → 開発者向けオプション →
**「Bluetooth オーディオコーデック」**に LDAC が並んでいれば対応
- 設定 → 接続設定 → Bluetooth → 接続中のイヤホンの歯車を開く
- 端末別の補足
- Xperia:多くのモデルがLDAC対応。開発者向けオプションにLDAC/音質優先の項目が出やすい
- Pixel:対応モデル多数。表示場所は開発者向けオプションが確実
- Galaxy:接続デバイス詳細に「LDAC」トグルがある機種が多い
【チェック】
- Android 8.0以上
- 「LDAC」の項目がどこかに表示される(Bluetooth詳細 or 開発者向けオプション)
イヤホン側がLDAC対応かチェック
- 箱・取説・商品ページに**「LDAC」ロゴ/“LDAC対応”**の明記があるか確認
- 注意:「Hi-Res Wireless」だけではLDAC確定ではありません。必ず“LDAC”の文字を確認
- 型番が分かるなら「型番 + LDAC」で公式仕様を確認
- 不明でもOK。後ほど現在のコーデック表示で最終確認します
【チェック】
- イヤホンの仕様にLDACの明記あり(または要確認メモ)
音楽アプリの高音質設定が有効か(Spotify/Apple Music等)
LDACでも、アプリ側が低音質だと差が出ません。使うアプリに高音質設定があるかだけ先に把握。
- Spotify:設定 → 音質 → 高音質/最高音質(“自動/節約”はOFF)
- Amazon Music:設定 → ストリーミング音質=HD/Ultra HD、ダウンロードも同様
- Apple Music(Android版):設定 → オーディオの品質 → ロスレス(※真価は有線+DAC)
- YouTube Music:設定 → 音質 → 高音質、ダウンロードも高音質
※この時点では“あるか確認”だけでOK。実際の切替は接続後に行います。
【チェック】
- 使うアプリの高音質モードの場所が分かった
ここまで3点が揃えば、機材条件はクリア。次は「Bluetooth設定の見直し(ペアリング/LDAC指定/音質優先)」に進みます。
② Bluetooth設定を見直す
LDACに切り替わらない原因の7割はBluetooth周りの設定です。
「再ペアリング → LDAC指定 → 音質優先」の順でサクッと確認しましょう。
ペアリングの削除 → 再接続
- 登録解除
- 設定 → 接続設定 → Bluetooth → 接続中イヤホンの歯車 → 登録解除(削除)
- イヤホン側もリセット(取説の“初期化”手順)
- 他端末の自動接続を遮断
- マルチポイントを使っている場合は一時的にOFF。
- PCやタブレットのBluetoothはOFFに(勝手に奪われるのを防ぐ)
- 再ペアリング
- イヤホンをペアリングモード→XperiaのBluetoothで新しいデバイスから接続
- 接続後、デバイス詳細でメディアの音声=ON、あればHDオーディオ(LDAC)=ON
ここまでで音が出ることを確認してから次へ。
開発者向けオプションで「Bluetoothコーデック=LDAC」を指定
イヤホンを接続した状態で操作しないと項目がグレーアウトします。
- 設定 → システム → 開発者向けオプション を開く
- 画面上の検索に 「Bluetooth」 または 「LDAC」 と入力
- Bluetooth オーディオコーデック をタップ → LDAC を選択
- 機種によっては 「HDオーディオ(LDAC)」 のトグルがあるので ON
- ここで LDACが選べない/表示されない 場合
- イヤホンがLDAC非対応/未接続/企業端末で機能制限 などが原因のことが多いです。
「音質優先」モードを選択しているか
- 開発者向けオプション内の LDACの音質選択(名称例:
「LDAC音質」/「接続品質の最適化」)を開く - 〔音質優先(Quality preferred)〕 を選択
- ほかに 接続優先/自動(Best effort) がある場合、まずは音質優先に
- サンプルレート/ビット深度は「自動」 のままが安定(固定は音切れの原因)
人混みや電波混雑でブツブツする場面は、接続優先に一時切替が実用的です。
ミニチェック(ここまででOK?)
- イヤホンを登録解除 → 再ペアリングした
- Bluetoothコーデック=LDAC を指定した
- 音質優先 に切り替えた(サンプルレート/ビット深度=自動)
これでLDACの設定は完了。次は**接続環境の改善(距離・干渉・電池)**を確認しましょう。
③ 接続環境を改善する
LDACは“環境にシビア”です。距離・干渉・電池の3点を整えるだけで安定度が大きく変わります。各項目は30秒でチェックできます。
端末とイヤホンの距離/遮蔽物をなくす
- 1m以内・見通し を基本に。体やバッグ、厚手の服、金属(鍵・ケース)で電波が遮られると降速や音切れの原因に。
- 端末はイヤホンと同じ側のポケットに入れる(反対側だと人体が遮蔽)。
- デスクではスマホを机上に置く(引き出し・鞄の中はNG)。
確認方法:再生しながら数歩近づく/ポケット位置を同じ側へ → 途切れが減れば距離・遮蔽物が原因。
Wi-Fiの2.4GHz混雑を避ける(5GHzへ切替)
- 家庭内:ルーターの 5GHz帯(SSID末尾に -5G など) へ接続。
- 2.4GHzはBluetoothと同帯域で干渉しやすい。
- 公共空間:人混み・駅・カフェは混雑しがち。立ち止まって確認すると改善することも。
- 電子レンジ・ワイヤレス機器の近くは避ける。
確認方法:Wi-Fiを一旦OFF→ON、可能なら5GHzへ変更して再生 → 改善すれば干渉要因。
端末&イヤホンの電池残量を50%以上に
- スマホ・イヤホンとも50%以上を目安に。
- スマホの省電力モード(STAMINA/バッテリーセーバー)はOFFに。
- バッテリーが少ないとLDACは660/330kbpsへ自動降速しやすくなります。
確認方法:充電してから再生 → 安定すれば電源要因。
(充電直後は通信が安定しやすいのでテストに最適)
ここまでの3点で改善しない場合は、次の章「うまくいかない時のチェックリスト」に進み、再ペアリング/LDAC再指定/音質優先まで一気に見直してください。
④ 音楽アプリの設定を確認する
LDACでも、アプリ側が低音質のままだと音の差は出ません。まずは使っているアプリを**“高音質”**にそろえましょう。
Spotify/Apple Music/Amazon Music/YouTube Musicで「高音質」に設定
Spotify
- 右上の歯車(設定) → 音質
- ストリーミング=高音質または最高音質
- ダウンロード=高音質/最高音質(オフライン再生する人は推奨)
Apple Music(Android版)
- 設定 → オーディオの品質
- モバイルデータ/Wi-Fi それぞれ 高音質(ロスレス) を選択
- ダウンロードも ロスレス
※ロスレス/ハイレゾの“完全再現”は有線+対応DACで可能。Bluetooth(LDAC)でも高音質になりますが、ロスレスのままではありません。
Amazon Music
- 設定 → ストリーミング音質=HD/Ultra HD を許可(“自動”は避ける)
- ダウンロード音質=HD/Ultra HD
- 再生画面に HD/Ultra HD の表示が出るか確認(曲によってはSDのみ)
YouTube Music
- 設定 → 音質
- モバイル/Wi-Fi の再生音質=高音質
- ダウンロード音質=高音質
自動/データ節約モードはOFFにする
- 各アプリの 「自動」、「データ節約」 はOFF(通信状況で勝手に低音質へ落ちます)。
- Android本体の データセーバー もONだと品質を抑える場合あり → 一時的にOFFで確認。
- 省電力モード(バッテリーセーバー)は音切れ/降速の原因になることがあるため、テスト時はOFF推奨。
設定変更後は再接続して反映
- 再生を一時停止
- イヤホンを切断 → 再接続(BluetoothをOFF→ONでも可)
- 曲を再生し、現在のコーデックがLDACになっているか確認(開発者向けオプション/接続詳細の表示)
ミニチェック
- 使うアプリの再生・ダウンロードとも高音質にした
- 自動/データ節約=OFF
- 再接続後に再生して確認した
これでアプリ側の準備は完了です。まだLDACにならない/音が不安定なら、続く章の**最終チェック(切り分け)**へ進んでください。
⑤ それでも直らない時の最終手段
LDACがどうしても有効にならない/安定しない場合は、原因の切り分けをします。コーデック切替 → 再生環境の変更 → アップデートの順で試してください。
一時的にSBC/AAC/aptXで接続できるか確認
目的: LDAC特有の問題か、機器や環境の問題かを判定します。
- 設定 → システム → 開発者向けオプション → Bluetoothオーディオコーデック
- SBC/AAC/aptX のいずれかに一時的に切替
- 同じ場所・同じ曲で再生し、途切れ・ノイズ・遅延を比較
- 改善する → その環境ではLDACが不安定。外出時は接続優先または他コーデック、宅内は**音質優先(自動)**に戻す運用が現実的。
- 改善しない → 環境要因ではなく機器/アプリ側の可能性が高い(次へ進む)。
メモ:ゲーム・動画の遅延が致命的な用途は、LDACよりaptX(特にAdaptive)や有線が安定です。
別アプリ・別曲で再生してみる
目的: アプリ固有/楽曲ファイル固有の問題を除外します。
- 例:Spotify → YouTube Music や Amazon Music に切替
- 例:同じアプリ内でも別の曲(ビットレートやエンコードが異なるもの)で再生
- 端末のイコライザ/音響効果は一旦OFF(相性で歪み・ブツ切れ・遅延の原因)
結果の見方
- 別アプリで改善 → アプリ側設定/仕様が原因。高音質設定やデータ節約、キャッシュを見直し。
- どのアプリでも同症状 → 機器/OSの可能性大(次へ)。
ファームウェア/OSアップデートを実施
目的: 既知の不具合修正や互換性改善を取り込みます。
- イヤホンのファームウェア更新
- メーカー公式アプリ(例:Sony | Headphones Connect など)を開き、ファーム更新がないか確認・適用。
- 更新後は必ず登録解除 → 再ペアリング(古い接続情報をクリア)。
- Android本体の更新
- 設定 → システム → システムアップデート でOS/セキュリティ更新を適用。
- 適用後に再起動→再接続。
- Bluetoothスタックのリフレッシュ(必要な場合のみ)
- 設定 → アプリ → 右上メニュー 「システムを表示」 → Bluetooth → ストレージとキャッシュ → キャッシュ削除
- それでも不調なら、設定 → システム → リセットオプション → Wi-Fi・モバイル・Bluetoothをリセット(保存済みWi-Fi等が消えるので注意)。
- 別端末での動作確認
- 可能なら他のAndroid(またはPC)に同イヤホンを接続。
- 別端末で正常 → スマホ側の問題。別端末でも不調 → イヤホン側の問題の可能性。
ここまで行っても改善しない場合は、メーカーサポートに症状(機種名/OS/アプリ/再現手順)を添えて問い合わせると解決が早いです。
一時的な運用としては、接続優先やaptX/AACで安定を確保し、環境が整う場面(自宅・デスク)で**音質優先(LDAC)**を使い分けるのが現実解です。
よくある質問(FAQ)
Q:なぜLDACが990kbpsにならない?
- LDACは自動可変です。環境に応じて 990/660/330kbps を行き来して、音切れを防ぎます。
- 下がりやすい要因:距離・遮蔽物/2.4GHz干渉/電池残量/接続優先モード。
- 対処の優先度:
- 音質優先にする(開発者向けオプションのLDAC設定)
- 1m以内・見通し+可能ならWi-Fiは5GHz
- 端末/イヤホンとも電池50%以上、省電力はOFF
- 重要:990“固定”は非推奨。固定すると音切れ・遅延が増えがちです。安定>数値が実用ベスト。
Q:LDACにしても音が途切れるのは?
- 原因の多くは 電波条件(距離・遮蔽物・干渉)か電池/省電力。
- まずは 距離を縮める/見通し確保/5GHz Wi-Fiへ、電池を50%以上に。
- それでも切れる場面(人混み・通勤など)は、一時的に「接続優先」へ。
- 改善しない場合は SBC/AAC/aptX に切り替えて症状比較 → LDAC特有か切り分け。
- アプリ側の自動/節約モード、端末のイコライザ/音響効果は一旦OFFで確認。
Q:ゲームやYouTubeの遅延を減らす方法は?
- 遅延重視の用途では、LDACより aptX(特にAdaptive) や 有線接続が現実解。
- できること:
- 端末が対応していれば aptX/aptX Adaptive に切替(開発者向けオプション)
- イヤホンのゲームモードは効果あり。ただしゼロ遅延にはならない
- 重要な場面(対戦・音ゲー・編集)は 有線+USB-DAC を推奨
- 動画の音ズレはプレイヤー側の補正で改善することも。まずは別アプリでも検証を。
次に読む(回遊リンク)
- XperiaでLDACを有効化する方法【990kbpsの注意点/開発者オプション】
Xperia特化の“3手順”ガイド。LDAC指定/音質優先/確認方法まで最短で。
👉 https://earbuds.aspsv.com/xperia-ldac-settings-990kbps/ - LDAC vs aptX 徹底比較
音質重視(LDAC)か、遅延・安定重視(aptX)か——用途別の正解を1ページで。
👉 https://earbuds.aspsv.com/ldac-vs-aptx-comparewith/ - LDAC対応スマホ一覧(完全版)
メーカー別・機種別の対応状況を一望。買い替え/機種選びの前にチェック。
👉 https://earbuds.aspsv.com/top-20-smartphones-supporting-ldac-bluetooth-codec/
👉 この構成なら「直したい初心者」が
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